空に咲く花とキミを
人生最大のギャンブルかもしれないーーー直くんが変わってくれることを願って、彼の誘いを受けた時からそれは始まっているんだ。

「オマエも食えよ。酒も飲まねーと、ぬるくなるぞ」

「うん」

網の上で肉が焼けていく音を聞きながら、あたしは酎ハイを一口飲んでからタバコに火をつけた。

そして、煙と一緒にため息も吐き出した。

直くんと出会ってもうすぐ1年ーーーまさか同棲することになるだなんて、思ってもいなかった。

あの日も今日みたいに暑くて、やっぱりお酒を飲んでいた……。



****

「いらっしゃいませぇ。あ、安ちゃんお久しぶりー!」

「華ちゃん今日は早い出勤だね」

1年前のあたしは、昼間は家の近所でバイトして、週末だけ繁華街にある小さなスナックで働いていた。

「座って座って!おしぼりどうぞ」

あたしは満面の笑みで、安(あん)ちゃんをカウンターへ案内した。

安ちゃんとは常連のお客さんで、本名を安井さんといった。

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