空に咲く花とキミを
「わかったから落ち着けよ」

「…」

落ち着いてないのは、直くんなんですけど。

真っすぐ訴えかけるような視線を直くんに送ると、直くんはふぅっと息を吐いてから話し始めた。

「わかったよ…夜はあんまり遅くならないようにするし、もう疫病神なんて言わねーから。それでもオマエはオレと別れたいの?どうなんだよ?勢いだけで言うもんじゃないぞ?」

「あたしは…」

勢いなんかじゃ…。

「他に別れたい理由があるのか?男か⁈そいつぶっ殺してやろうか⁈…ぁあ⁈」

ギロリと獲物を抑えつけるような、そんな視線でがんじがらめにされたあたしに、逃げ場はなかった。

「別れるのか別れないのかどっちだよ⁈」

「別れ…ない」

「最初からそう言えばいいんだよ。ほら、行くぞ」

完全に直くんに言わされたあたしに対して、急に穏やかになって話しかけてきた直くんは、さっさと車から降りると店内へ入っていった。

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