空に咲く花とキミを
脅された感満載のあたしは、まだ車から降りられず、タバコに火をつけた。

あの目に睨まれると恐くて……折れてしまったあたし。

結局自分のいいように話を持って行くのが、直くんの特技なんだと思うくらい、あたしは直くんに逆らえなかった。

逆らえないから、あたしは別れないという選択をしたのかな。


「…」

タバコの火を消すと、あたしは車から降りて自動ドアに向かって歩いていた。

遅いと、また怒られる…。

直くんが恐いから、最後まで自分の意思を通せなかったのか……それともあたしはまだ直くんのことが好きで、本当に別れたくなかったのか……。

自分の気持ちなのに、まるでタバコの煙が立ち込めている中にいるみたいで、よく見えない。

「おう、来たか」

「…」

直くんは機嫌が良くて、あたしはいくらかホッとした。

ーーーそして今日も、帰る頃には日付が変わっていた。

直くんの、嘘つき。

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