空に咲く花とキミを
「カギ」

「……」

「車のカギ。寒いんだからさっさとしろ」

あたしの車の前で、直くんが右手をだしていた。

「……」

あたしが直くんに車のカギを渡すと、直くんは当たり前のように運転席に座った。

直くんは、カッコつけなのかわからないけど、いつも運転したがる。

あたしの運転を信用していないのかもしれないけど。

あの事故があってから、直くんの運転があたしは怖くてたまらないというのに。

信用できないのは、直くんの運転だよ…。

「ねぇ、大変なことって…なに?」

「まぁ待てって。少し飲むか」

早く帰りたくて本題に入ったつもりだったのに、直くんはお酒を飲むだなんて言っている。

直くんは、どこまででもあたしを自分のペースに嵌めていこうとし、逆らえば口調を荒げて従わせるーーー慣れたとはいっても、気持ちのいいことではなかった。

もっとも、慣れていいことではないのだけど。

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