空に咲く花とキミを
この人は…自分の保身のために、あたしに借金しろというのか。

「オレが刑務所行くのかオマエが金借りるのか、どっちがいいか考えろ」

今度は静かに迫り来る直くんに、


「わかったよ…」

としか、言えなかった。


翌日、バイトが休みだったあたしは、直くんのために借金をして、罰金の全額を支払った。

直くんがちゃんと働いて、返してくれることを祈っていたあたしは、正真正銘のバカだ。

これが、直くんと離れられなくなる鎖になるんだから。

借金という名の重たい鎖が、あたしの身体の自由を奪った。


直くんはお金を返してくれるどころか、事あるごとに理由をつけてお金を要求してくるようになった。

気がつけば出来上がっていた直くんとの主従関係に、あたしは逆らえず、機嫌をとるために従うのだった。

直くんはちゃんと働いているのだろうか…そんな疑問がチラついたけど、寮生活をしているということは、仕事を続けている証拠なのだろうと前向きに考えた。

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