空に咲く花とキミを
ただ単純に、金づかいが荒いだけなんだと思う。

ある時は”寮内で金を盗まれた。”、またある時は”手術をすることになった。”、などと理由をつけて、あたしの借金を増やしていった直くん。

疑いをかけたり断ったりした時の直くんの反応を想像したら、怖くてイエスと言うしかなかった。

バカな話と思うかもしれないけど、直くんの言うことは絶対で、その暴力にも似た言葉にあたしは完全に縛られていた。

そして、ここで別れたら返してもらえなくなる……そんな気持ちから、あたしは意地になっていたのかもしれない。

好きかどうかもわからない……とっくに愛など冷めてしまったかもしれない相手の機嫌をとり、付き合い続けているのだから。


そうして直くんが半年の期間を終え帰ってきた時、季節は夏になっていた。

直くんがしていた工場の仕事は、期間の延長ができなければそのまま退職になるそうで、直くんがそうなったのも何となくだけど納得できた。

地元に戻ってきた直くんは、しばらく遊ぶのかと思いきや、また勝手なことを言いだした。


「華、一緒に住まないか?」

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