空に咲く花とキミを
「え?」

一瞬で、目が点になったあたし。

「いい派遣会社を見つけたんだ、明日面接の予定入れといたから」

何でもかんでも、直くんは勝手に決めてしまう。

「待って直くん、明日はバイトが…」

「そんなもん休めよ。どうせ決まったら辞めることになるんだから」

「…」

やっぱり直くんに逆らえないあたしは、本当に面接を受けることになり、その場で即決、採用が決まったのだった。

引っ越しは2日後ーーー昼と夜、2つのバイトを辞め、何とか親を説得し、バタバタと荷造りをしながら、直くんと行く決心をした。

あたしを利用しているだけだと思っていた直くんが一緒に住もうだなんて、心境の変化があったのだろうか。

だったら価値のある同棲になるかもしれない…。

それに一緒に住んでいれば、2人の稼ぎで借金を清算していかなければならなくなる。

ちゃんと返してもらえるチャンスかもしれない。

直くんが変わってくれることを祈って、あたしはこれから始まる生活に賭けることにしたーーー…。

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