空に咲く花とキミを
こういう上から目線なところも、正直あまり好きではないのだけど、あたしと直くんの歳の差から仕方ないのかな…なんて割り切っていた。

あたしは23歳で、直くんは30歳だから。


「お待たせ。書類が何枚かあるから、順番に説明していきます。質問があれば、その都度言ってくれれば説明するから」

あたしたちの向かいに座りながら、松井さんは言った。

松井さんの言葉に敬語とタメ口が混ざっているのは、丁寧に接しようとしてくれているのと、距離を縮めようとしてくれているのと、その両方ではないかと感じた。


「まずは就業規則から。たくさんあるから大事なことだけ掻い摘んで話をします。えぇと、2ページの……」

松井さんは就業規則を見ているのか見ていないのか…大抵のことは暗記しているのだろう、サラサラと説明してくれた。

その他には、雇用契約書や就業条件明示書など数種類の書類の説明を受け、それらにサインをした。

1日でこんなにたくさん自分の名前を書いたのは、高校のテストの時以来かもしれない。


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