空に咲く花とキミを
「お疲れ様、今日はこれで終わりだから、寮まで送っていくよ」

書類の記入が終わって作業着を受け取り、松井さんがそう言う頃には、アイスコーヒーもすっかりぬるくなっていた。

「見学はいつですか?」

直くんが質問するーーー見学なんてこともするのか…。

松井さんが答える前に、原くんは詳しいね、と前置きすると、直くんは常識ですよと言わんばかりに胸を張り、自慢気な表情になる。

「…」

ちょっと褒められたくらいで……ーーーあたしはため息が出そうになった。

「職場見学は明日にします。時間は…先方の都合もあるから、明日の朝改めて連絡するよ。原くんのケータイでいいかな?」

「はい、お願いします」

あたしは、ふんぞり返っている直くんの代わりに答え、ぺこりとお辞儀をした。



「それじゃあ、今日はお疲れ様でした。荷物の整理とかもあるだろうけど、出来るだけ身体を休めておいてね」

寮の駐車場に着くと松井さんは、運転席からあたしと直くんに軽く手をあげて言った。


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