sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜


お互いの気持ちは同じだとわかったことだし、詠吾さんとならこの先にのことに及んでも何の問題もないけど……あまりに急展開過ぎて、頭がついていかない。

だって今は朝で、今日は平日だから会社もあって、それに何より別の部屋にはみーちゃんや祖父だっているわけだし……やっぱりこの先はダメだよ。


「詠吾さん……やめて。お願い」


本当は流されそうなのを必死にこらえて、キスの合間に彼に頼み込む。

でも、詠吾さんは不服そうな顔でなおも私の唇にちゅ、と吸いつく。


「なんで……俺はまだ、全然足りない」

「だって、この家には私以外にも……」


言いかけたのとほぼ同時に、部屋の扉がコンコンとノックされた。

これにはさすがの詠吾さんもぴたりと動きを止め、ふたりで扉の方を向く。その向こうから聞こえてきたのは、みーちゃんの呑気なしわがれ声。


「綾辻弁護士様。お楽しみのところ申し訳ありませんが、そろそろ旦那様が出勤されるそうなのであなたをお呼びするよう頼まれました。名残惜しいでしょうが一旦おやめくださいね」


私と詠吾さんは顔を見合わせ、ふたりして吹き出した。

お楽しみのところ、とか名残惜しい、とか、みーちゃんってば、聞き耳を立てていたのかな?

恥ずかしいけれど、祖父に聞かれるよりはよかった……ということにしておこう。


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