Call my name !! 【短編】
「え、なんで?まさか泣いてるの?」

こんなことで泣くなんて私のガラじゃない。そもそもケイタと会うまでは、恋愛とか結婚だってどうでもよかったはずなのに。


会ってしまったから、好きになってしまったから、私がケイタを想う気持ちと同じように彼にも求めてしまうんだ。

どうしようもない。ほんとに情けない。


「どうしてケイタは私の名前を呼んでくれないの」


涙で滲んだ視界の中に、困った様子のケイタがいた。

躊躇った様子を見せてから、意を決したように私の身体を力いっぱい抱きしめる。


そうじゃない。抱きしめてほしいわけじゃない。


どうしてわからないの……

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