Call my name !! 【短編】
ケイタが耳元でささやいた。

「ごめんね」

優しい声に、胸の奥が切なくきゅうっと鳴き出した。


「俺、こういうの照れるんだ」


ケイタの首筋が脈を打つのを感じてしまう。私よりも大きな音で、とても早く鼓動している。


そうだった。ケイタはいつだって私よりも緊張していた。

私は抱きしめられることに慣れてしまったのだろうか。こんなにケイタは私を想ってくれているのに、どうして言葉なんて求めてしまうんだろう。


ケイタは私の身体を離してからキスをした。

初めてケイタからキスをしてくれたのに、頭の隅ではやっぱりなにかが違うと思ってしまう。

抱きしめられることもキスされることも、言えない言葉をごまかされているような気がしてならない。


今までで一番長いキスだった。ケイタの舌が震えながら私の舌を絡め取る。

< 36 / 39 >

この作品をシェア

pagetop