呪われ姫と強運の髭騎士
「―― !」
 
 それを見たクリスの顔が曇る。
 
 銀の発色を放っていたロザリオが、真っ黒になっていたのだ。
 
 錆がびっしりと付着したロザリオを見ながら、ソニアの瞳が憂いに揺れる。

「……城で起きる現象や、私自身に起きる奇怪な出来事の原因が何なのか……一刻も早くつきとめなければ……」
 
 そう言ったニアは、深くて長い溜息をついた。

「どうして……こんなことが……もしや、父や母やお兄様達は……」
 
――亡くなった原因は。
 
 ソニアの口から吐き出そうとした疑問は、声に乗らなかった。
 
 自分自身、否定したい考えだからだ。

(お祖父様がご存命でいらっしゃった時には、こんな現象は起きなかった)

「――もう訳が分からない……」
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