反逆の騎士長様


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ピチチチ…



小鳥のさえずりが聞こえる翌日の朝。


着替えを終えて荷物をまとめた私は、ツリーハウスのはしごを降りて、地面に足をつけた。


そこには、もうすでに支度を済ませて待っていたロッド様とラントの姿がある。


二人共もうすっかり体調が回復したようだ。

顔色もいい。



「おせーぞ、セーヌ。」


「準備はいいか、姫さん。」



ラントとロッド様の言葉に、私は二人に駆け寄る。



「お待たせしました…!忘れ物はありません!」



するとその時、シュゥゥ!と太い木の幹を滑るようにヴェルが私たちの元へとやって来た。



『この先を進めば港町は目の前じゃ。

ガルガルに頼んで仲間の木に道を作るよう指示してもらった。道なりに行けば、きっと迷わず樹海を抜けられるじゃろう。』






そんなことが出来るんだ…!



私達が目を輝かせていると、ツリーハウスの隣に立つガルガルが私たちを見下ろしながら口を開いた。



『お世話になったお礼ガル。

また、ここにも来て欲しいガル。』



ロッド様はゆっくり頷くと、ヴェルに向かって声をかけた。



「…じゃあ、行くよ。

色々助かった。ありがとうな、ヴェル。」



『なぁに、礼を言うのはこっちの方じゃ。

さっさと呪いを解いて王達を救ってこい。小鳥達からいい報告を聞けるのを待っとるからな。』



ヴェルは、にこり、と微笑むと、白い髭を触りながら私に言った。



『セーヌ。ロッドを頼んだぞ。』



「!…はい!」



私達は、ヴェルとガルガルに別れを告げて、樹海の中へと進んで行った。



…この先に、港町がある。


そこには、もう王子様が到着しているかもしれない。

私の…“夫”となる人…。



私は小さく呼吸をして、胸に手を当てた。


ロッド様は、そんな私の様子に気がついていたが、あえて声をかけてはこなかった。


深い森に、海の匂いが風に乗って香ったような気がした。



第2章*完

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