見えないなら繋いで
画面の名前に震える指で通話を押した。

『神月さん?俺だけど』
「はい、神月ですっ」
『あのさ、ちょっと話したいから…この間、帰り道の近くにあった公園分かる?』
「うん、分かる」
『そこで待ってる』
「分かった!すぐ行くね」
『急がなくていいから。じゃああとで』
「うん、ばいばい」

電話が切れる。
いつもの真壁くんの声とは少し違う電話の声。
耳元で話されているようでいつもより緊張した。

何より…真壁くんが話したいことってなんだろう。

不安がよぎるけど、私も気持ちを話すって決めたから。

すぐに公園に向かって走り出した。



「真壁くんっ」

学校を出て10分程で公園についた。
ベンチに腰かける真壁くんの姿を見て思わず大きな声で呼んでしまう。

「ごめんね、お待たせ」
「いや、むしろ早いね。急がなくていいって言ったけど」
「だって…早く話したかったから」
「…そう。とりあえず座れば」

そう言って少しずれてくれた真壁くんの隣に座る。
30cmの距離に緊張して前しか見えない。
正面には誰も乗っていないブランコがあった。

「どうして俺に告白してくれたの」

唐突な真壁くんの質問はよく分からなかった。
でも、どうしてと言われても答えは一つしかない。

「どうしてって……真壁くんが…好き、だからだよ」

どうしてそんなこと聞くんだろう。

「いや、それは知ってるんだけど。なんか…神月さん、付き合うとかってあんまり興味ないのかなって」
「興味…なくないよ。だって、この間も真壁くんとデートして楽しかったし」

真壁くんの質問の意図がさっきから掴めない。
しかし無表情の真壁くんは言葉を選ぶように話していて、真剣な様子だった。

「うーん、俺の聞き方が悪いのかな。神月さん、デートの帰りに連絡くれるって言ってたのに、全然来ないからもう嫌になったのかと思って…」

まさかだった。
私から連絡をしなかったことでこんな誤解が生まれていたなんて。

「そんなわけない!違うよ、ごめん。真壁くんが引っ越しとかあるって言ってたから迷惑になりたくなくて…でも、時間が経っていったら、なんか、どんどん連絡しづらくて、変に連絡して嫌われたらどうしようって…」

胸の内をさらけ出してしまい、真壁くんがどんな反応をしているのか気になってた横を向くと、真壁くんはぽかんとした顔で私を見ていた。

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