誰にも言えない秘密の結婚




「俺にも作って来てよ」


「えっ?」



端で挟んでいた卵焼きが今度はポロっとお弁当箱の中に落ちた。


拓海さんの言葉に私の思考回路が停止して、周りのみんなは一斉に拓海さんの方を見る。



「吉田?おーい!吉田?」



拓海さんが私の前で手を振り、それで我に返った。


社長は相変わらず笑いを堪えてるし。



「あ、は、はい。す、すみません……」


「なんか変なこと言った?」


「あ、い、いや、変なことと言うか……いきなりだったんでビックリして……」


「いや、だって、吉田っていつも美味しそうな弁当食べてるなぁと思ったら、俺も食べたくなっちゃってさ」



拓海さんはそう言ってクスッと笑った。




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