誰にも言えない秘密の結婚
みんながキッチンに集まって来る。
「あ、ゴメンね〜。吉田が落としたお弁当箱を過って踏んじゃった」
有本さんはそう言ってクスリと笑うと、キッチンから出て行った。
後藤さんたちもそれについて出て行く。
キッチンに残ったのは社長と拓海さんだけ。
「明ちゃん、大丈夫?」
「はい」
泣きそうになるのを堪えて、しゃがみ込みバラバラになったお弁当箱のカケラを拾っていく。
拾うのを手伝ってくれようとした社長だけど、電話がかかってきてキッチンを出て行ってしまった。
私の前に拓海さんがしゃがむ。
私の頭にポンと手を乗せ、クシャクシャと撫でてくれる。
その瞬間から堪えていた涙がドバドバと溢れてきた。