誰にも言えない秘密の結婚



部屋を出た拓海さんは体温計を持って戻って来た。



「熱、計って?」



私はコクリと頷いて、体温計を受け取った。


しばらくして体温計から電子音が聞こえ、体温計を見ると38度5分の表示。



「見せて?」


「はい……」



私は体温計を拓海さんに渡した。



「めちゃくちゃ熱あるじゃん!仕事、休みだね」


「はい……」


「病院、行く?」


「寝てれば大丈夫なので……」


「何か食べたいものある?」



私は首を左右に振った。


食欲もない。



「俺、仕事行って来るけど、なるべく早く帰って来るから大人しく寝てるんだよ?」



コクリと頷いた私だったけど、部屋を出て行こうとした拓海さんの腕を掴んでいた。




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