誰にも言えない秘密の結婚
事務所内の軽い清掃をしてると、他の社員が出社して来る。
挨拶をするけど、基本、無視される。
まぁ、もう慣れちゃったからいいんだけど……。
「おはようございます」
後藤さんが事務所に入って来た。
あれ?後藤さんは今日は打ち合わせで、そのまま行くんじゃなかったっけ?
確か10時の約束だったはず……。
「後藤さん?」
声をかけるけどチラリと見るだけで無視。
有本さんや西山さんと話をしてる。
「後藤さん?」
もう一度、声をかけると舌打ち。
「何だよ?うるせぇなぁ」
「今日、打ち合わせでそのまま行くのでは……」
「…………あっ!」
慌てる後藤さん。
「何で早く言わねぇんだよ!お前、マジで役に立たねぇな」
「す、すみません……」
「吉田が謝ることないよ」
そう言ったのは拓海さん。
「後藤くん?自分が忘れてたんでしょ?吉田は後藤くんに伝えようと声をかけたよね?それを無視したのは君だよ?なのにそんな言い方ある?」
「それは……」
拓海さんにそう言われ、バツの悪そうな顔をする後藤さん。
「吉田に謝りなよ」
「…………ゴメン」
目を合わせず、少し下を向いて謝ってきた後藤さん。
「行って来ます」
後藤さんはカバンを持ち、慌てて事務所を出て行った。