誰にも言えない秘密の結婚



事務所内の軽い清掃をしてると、他の社員が出社して来る。


挨拶をするけど、基本、無視される。


まぁ、もう慣れちゃったからいいんだけど……。



「おはようございます」



後藤さんが事務所に入って来た。


あれ?後藤さんは今日は打ち合わせで、そのまま行くんじゃなかったっけ?


確か10時の約束だったはず……。



「後藤さん?」



声をかけるけどチラリと見るだけで無視。


有本さんや西山さんと話をしてる。



「後藤さん?」



もう一度、声をかけると舌打ち。



「何だよ?うるせぇなぁ」


「今日、打ち合わせでそのまま行くのでは……」


「…………あっ!」



慌てる後藤さん。



「何で早く言わねぇんだよ!お前、マジで役に立たねぇな」


「す、すみません……」


「吉田が謝ることないよ」



そう言ったのは拓海さん。



「後藤くん?自分が忘れてたんでしょ?吉田は後藤くんに伝えようと声をかけたよね?それを無視したのは君だよ?なのにそんな言い方ある?」


「それは……」



拓海さんにそう言われ、バツの悪そうな顔をする後藤さん。



「吉田に謝りなよ」


「…………ゴメン」



目を合わせず、少し下を向いて謝ってきた後藤さん。



「行って来ます」



後藤さんはカバンを持ち、慌てて事務所を出て行った。




< 138 / 302 >

この作品をシェア

pagetop