誰にも言えない秘密の結婚



ーーガタンッ!


気付くと、私の手からお弁当箱と水筒の入った紙袋が落ちていた。


事務所のドアが開けられ、社長と拓海さんが立っていた。


2人とも目を見開き私を見る。



「明ちゃん……」


「明……」


「拓海さんがお弁当が食べたいって、言ってくれたから……夜食にと思って作って来たんです……サプライズのつもりで……あの……えっと……別に立ち聞きしたかったわけではなくて……ゴメン、なさい……」



私はそう一気に捲し立てた。



「ゴメン、なさい……」



涙が止まらない。


早くこの場所から逃げたくて、私は玄関まで走った。



「明!待って!」



そう言って、拓海さんが追いかけてくる。


拓海さんは玄関でサンダルを履いてる私の腕を掴んできた。



「違うんだ……」


「いいんです……大丈夫ですから……」



私はそう言ってニッコリ微笑み、拓海さんの腕を解いて玄関の外に出た。




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