誰にも言えない秘密の結婚




「明、ゴメンね……不安な思いをさせちゃって……」



私は首を左右に振った。



「明のご両親に結婚の挨拶をした時に、俺の両親は海外にいるって言ったの覚えてる?」


「はい……」


「あれ、嘘なんだ……」


「えっ?」



拓海さんは少し俯いて、顔を上げると私の目をジッと見つめた。



「……本当はね、俺には両親がいないんだ」


「両親が、いない?」


「俺ね、児童養護施設で育ったんだよ」


「えっ?」


「正確には母親は名前だけわかるけど、父親はどこの誰だかわからない。物心ついた時には児童養護施設にいて……」


「お母さんには……」


「母親には一度も会ったことないよ」



私には生まれた時から両親がいて、それが当たり前だと思っていた。




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