誰にも言えない秘密の結婚
「拓海に話を聞かれたなら、ちょうどいいや。2人に明日から……そうだなぁ……」
社長はそこまで言って、事務所のカレンダーに目をやった。
「3日、休みをやる」
社長はそう言ってニヤリと笑った。
「えっ?」
「えっ?」
今度は私と拓海さんがハモった。
2人で顔を見合わせる。
「2人で旅行に行くのも良し、家でまったり過ごすのも良し」
「い、いや、ちょっと待ってよ!」
慌てる拓海さん。
「お前、有休が溜まりに溜まってるだろ?たまには仕事のことを忘れて使わないとな」
確かに、私が就職してから拓海さんが有休を使ったのって、私が体調を崩して休んだ時だけだ。
「私は、もう5日も休んでしまいましたし……仕事に穴を空けるわけには……」
「大丈夫」
何が大丈夫なんだろう……。
いや、大丈夫じゃない気もする。
だって5日も休んだうえに更に3日だなんて……。
しかも3日は拓海さんも一緒。
ますます有本さんに怪しまれてしまう。