誰にも言えない秘密の結婚
「コーヒーでも淹れようか?」
マンションに帰って来て、リビングに入ると、拓海さんにそう聞かれた。
「えっ?あ、は、はい」
リビングに入った途端、何だか気まずい雰囲気。
変な緊張感もある。
それは、お互いの気持ちがわかったからなのかな。
「座ったら?」
「へっ?あ、そ、そうですね」
突っ立っていた私にキッチンから拓海さんがそう声をかけてきた。
ラグの上に正座で座る。
「どうしたの?」
拓海さんがトレイを持ってリビングに戻ってきた。
「えっ?」
「正座なんかして」
「あ、いや、その……なんな、緊張しちゃってまして……」
私の言葉にテーブルにトレイを置きながら拓海さんは声を出して笑った。