誰にも言えない秘密の結婚
「自分家なんだから緊張しなくてもいいじゃん」
そう言いながらも、更にクスクス笑う拓海さん。
「……って、言いながら、実は俺も緊張してるんだけどね」
「えっ?」
「結婚の挨拶に行った時よりも、明が初めてこの部屋に来た時よりもね」
「そう、なんですか?」
「うん」
拓海さんは私の隣に座ると、私の手首を持った。
「ほら……」
そう言って、私の手を拓海さんの胸に当てる。
静かなリビング。
私の手の平に拓海さんの胸の音が伝わってくる。
「凄くドキドキしてる」
拓海さんはそう言って、少し照れたように笑った。