誰にも言えない秘密の結婚



ほんの数秒間だけの短いキスだけど、それが何分にも何十分にも感じられた。


拓海さんの唇が離れ、私も目を開ける。


恥ずかしくて拓海さんの顔が見られない。



「ゴメン……」



私は、下を向いて首を左右に振った。


何を言っていいのかわからなかった。


沈黙が続く。



「明?」



それを破ったのは拓海さんだった。



「はい」


「あのさ、今日から一緒に寝てもいい?」


「えっ?」



顔を上げて拓海さんを見る。



「いい?」



もう一度、そう聞かれた。


私は何も言えずコクンと頷いた。




< 195 / 302 >

この作品をシェア

pagetop