誰にも言えない秘密の結婚
ほんの数秒間だけの短いキスだけど、それが何分にも何十分にも感じられた。
拓海さんの唇が離れ、私も目を開ける。
恥ずかしくて拓海さんの顔が見られない。
「ゴメン……」
私は、下を向いて首を左右に振った。
何を言っていいのかわからなかった。
沈黙が続く。
「明?」
それを破ったのは拓海さんだった。
「はい」
「あのさ、今日から一緒に寝てもいい?」
「えっ?」
顔を上げて拓海さんを見る。
「いい?」
もう一度、そう聞かれた。
私は何も言えずコクンと頷いた。