誰にも言えない秘密の結婚



昼休みになった。


お弁当を作って来たものの、あまり食欲もなく……。


お弁当箱を開け、ご飯を箸で突くだけ。



「ただいま〜」


「帰りました〜」



お客さんのところに行っていた、後藤さんと坂上さんが帰って来た。



「お疲れ様です」



無視をされるのはわかっているけど、一応、挨拶はするようにはしてる。



「今日は、めちゃくちゃ寒かった〜」



坂上さんがそう言いながらコートを脱ぐ。



「寒い日には、おでんだよね。ってことで、コンビニでおでん買って来た」



後藤さんが、デスクの上に置いてあったコンビニの袋から、おでんの容器を出す。


蓋を開けると、おでんの匂いが事務所に充満していく。


その時……。



「…………ッ!」



急に吐き気が込み上げてきた。


口を手で押さえ、席を立つ。


吐く。


キッチンで吐くのはダメだ。


トイレ……。


数秒の間にそんな思いが頭を過ぎり、急いで事務所を出て、トイレに駆け込んだ。




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