誰にも言えない秘密の結婚



昼休み。


いつものように自分の席で1人で黙々とお弁当を食べていた。


社長は現場に行って留守。


藤原さんは近所のコンビニへお昼を買いに行って留守。


事務所には私と、後藤さんたちだけ。


バカ笑いしている4人。


時々、こちらを見てはクスクス笑う。


聞こえないフリをして、お弁当を食べることだけに集中する。



「吉田?」



声をかけてきたのは西山さん。


いきなり声をかけられ、驚いて、思わず食べていた卵焼きを喉に詰まらせそうになった。


お茶を飲んで落ち着かせる。



「あ、はい」


「あんた、今日、暇?」


「えっ?」


「てか、どーせ暇でしょ?」



西山さんは“どーせ”の部分を強調してそう言ってきた。



「明日、休みだし、みんなで飲みに行こうかって話をしてるんだけど、吉田も来なよ」


「えっ?」


「ほら、模型やってくれたお礼……」


「いや、でも……」



それは藤原さんがやってくれたことで、私は一切何もしてなくて……。




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