誰にも言えない秘密の結婚
「ねぇ、明?」
「ん?」
「結婚式、したい?」
「えー!何、いきなり」
私は拓海さんの顔を見上げた。
私を見下ろす拓海さんの顔に笑顔がなくて、真剣な顔で私を見ていた。
ドクン、ドクンと、胸が鳴る。
「俺、明に何もしてやれてないなって……結婚式も結婚指輪も……今日、後藤くんと有本の結婚式を見て、2人の幸せそうな笑顔を見てると、明にも結婚式をさせてやりたいって思って……」
「うん、まぁ、確かにウェディングドレス着て、結婚式をしてみたい気持ちはあるけど……。でも拓海さんは私に良くしてくれてるよ?夏という可愛い娘にも会わせてくれたし、私は凄く幸せだよ?」
「明さぁ、有本の婚約指輪とかジーッと見てる時あったでしょ?」
「えっ?」
「今日だって、結婚指輪をジーッと見てる時あったし」
「それは……うん……まぁ、羨ましいなって思って……」
いつも有本さんの指に輝いていたダイヤの婚約指輪。
それから今日の結婚指輪。
2人で左手を出して、写真を撮る姿を見て、正直に羨ましいなと思った。
「結婚式、しよ?」
拓海さんはそう言って笑顔を見せる。
「だけど……」
「どうしたの?」
「私には結婚式に呼べる友達がいないから……」
「それは俺も同じだよ?友達って空翔しかいないし。何も、今日みたいな盛大な結婚式にしなくてもいいと思うよ?2人きりでもいいし、明の親族や会社のみんなだけでもさ」
「うん」
「明のウェディングドレス姿、可愛いんだろうなぁ」
拓海さんはそう言って、私を見るとクスクス笑っていた。