誰にも言えない秘密の結婚



藤原さんがそう聞いてきた意味がわからなかった。



「飲み会で……」



何も言おうとしない私に、藤原さんは更にそう言ってきた。



「な、何もないですよ?」


「吉田って、嘘つくと髪の毛触る癖があるんだね」



藤原さんはそう言ってクスリと笑った。



「あ、いや……えっと……」



髪を触っていた手を慌てて下ろす。



「何かあったんだろ?」


「いや、だから、何も……」


「もう、嘘つかなくていいから……」




藤原さんの言葉に、張り詰めていたいたものが崩れていくのがわかった。


気付くと、私の目からポタポタと涙が零れ落ちていた。





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