誰にも言えない秘密の結婚

「社会人になっても、こんな仕打ちに遭うとは思ってませんでした……」


「うん……。あのな、吉田」


「はい」


「あいつらのやってることは最低なことだ。大きな会社ならパワハラとかで訴えたり、部署を変えてもらうことも出来る。だけどな……あいつらの肩を持つわけじゃないけど、うちは小さな会社だから部署を変えることは出来ない。それに辞めさせることも出来ないんだ……後藤は建築士としても優秀だし、他の子も仕事が出来るヤツばかりで、今、辞めさせたら、また人を雇わないといけない。そうなったら、また一から教えないといけない。そうなったら俺や空翔が仕事の量を今よりも減らさないといけない……」


「大丈夫、です……」



藤原さんの言い分もわかる。



「あいつらのやってることを止められないのは、責任者でもある俺も悪い。申し訳ない……」



藤原さんは頭を下げてきた。



「藤原さんが悪いわけじゃないです。だから頭を上げて下さい。藤原さんに話を聞いてもらって、少しスッキリしたので、また月曜日から頑張れます」


「吉田……」



藤原さんは頭を上げて、私の顔を見た。