誰にも言えない秘密の結婚




「でも、転職を考えるくらい追い詰められていたんだろ?」


「えっ?」



何で、それを……。



「求人雑誌……」


「えっ?」



藤原さんの指差す方を見ると、鞄の口から求人雑誌が覗いていた。


慌てて鞄を持ち、それを膝の上に乗せて、鞄の口をギュッと握る。



「私、就活中に体調を崩して、道端で動けなくなったところを助けてくれたのが社長だったんです……拾ってくれた恩もあるし……だから……辞められないです……って、こんな雑誌持って何言ってるんだろ、私……。矛盾してますよね」



そう言って俯き、鞄の口を握っていた手に力が入る。





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