誰にも言えない秘密の結婚




「それから拓海?」


「ん?」


「明ちゃんのご両親に結婚の挨拶はいつ行くんだ?」


「そっか、挨拶に行かなきゃなぁ……いつ行こうか……」



藤原さんはそう言って、デスクの上にある卓上カレンダーを手に取った。


赤字がビッシリ書いてあるカレンダー。


土日も祝日もビッシリと。


それだけ仕事が忙しいってことだ。



「両親への挨拶は、そんなに急がなくても……」



藤原さんの予定がビッシリと入ってるし、入籍日だって決めてない。



「そういうわけにはいかないでしょ?」



藤原さんはそう言って、カレンダーと睨めっこしてる。



「で、いつ入籍予定?」


「特に決めてないけど、早くしたいとは思ってる。明日でもいいくらいだよ」



両親への挨拶とか、入籍日とか、だんだん現実味を帯びてくる。


私、本当に藤原さんと結婚するんだ……。


改めてそう思うと、胸がキュンと疼いてくる。




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