誰にも言えない秘密の結婚




「その仕事、火曜日までだっけ?」


「そうだけど?」


「じゃあ、明日行って来い!」



社長はそう言ってニカッと笑う。



「えっ?」


「はっ?」



藤原さんと声がハモり、驚いてお互い顔を見合わせてたけど、恥ずかしくなって目を逸らした。



「なんか初々しいね」



社長はそう言ってケラケラ笑う。


そんなこと言われたら余計に恥ずかしくなるよ……。



「まぁ、明ちゃんのご両親の都合が良かったらだけどな」


「き、聞いて、みます……」


「もし、ご両親の都合が悪くて挨拶が先になっても、明日は拓海は休みな。これは社長命令だ」


「わかったよ。吉田?悪いけど、そういうことだから……」


「はい」



私はそう返事をして、藤原さんと社長が食べ終えた食器類をキッチンに持って行った。


洗い物を済ませたと同時に、洗濯機から乾燥が終わったことを教える音が鳴った。




< 77 / 302 >

この作品をシェア

pagetop