ミツバチのアンモラル
「……なんでだろうね」
そんなのまるで、
「なんでって、おまえそれは……」
圭くんが、私を愛しているかのようだ。
「私は圭くんに、好きだと伝えることすらさせてもらえないのに」
「っ……それは……」
そろそろと起き上がり、掛け布団をお腹から下にかけたまま、体育座りでおでこを膝に乗せ、顔を智也からは見えないようにする。
ちょっと、泣きそうになったのだ。
「そうすれば解決にならないのかな。圭くんがたとえどんな趣味や性癖を持っていようとも、私は全力で受け止める所存なのに」
時折勘違いしそうになる圭くんの私に対する愛情。それは、そうであったら歓喜するほどなのに、なんで。
「気持ち悪い想像させんな」
「……いやらしいな、智也は」
恥ずかしい決意をしたからか、多少の物悲しさは消えていった。
やたら静かな智也を見れば、何故だろう、私のことをとても、ドン引きといった冷めた目で見ていた。
「いや。俺がきっと一番まともだ」
そしてとてもキッパリと、自信を込めて、そう否定をした。