偽りの婚約者に溺愛されています
「ちょっと待って。彼女たちは、単なる遊び仲間だよ。確かに昔は、荒れて遊んだ時期もあったけど。今はないよ。ちょっと大げさに言ったんだ。君に手を貸してもらうためにさ」
言いながら修吾さんも立ち上がる。
そのまま、私のいるほうへと歩いてきた。
「だからさ、そういうところが面白いんだよ。君は真っ直ぐで嘘がない。このまま終わりにするのが、惜しくなったんだ」
私の手をそっと握ると、彼は腰を折って目線を合わせてきた。
「着物がとても似合ってる。男勝りだとは思わない。君は可愛いよ」
彼の言葉が、いつかの智也さんの言葉とかぶる。
思い出しただけで、目が潤んできて視界が微かに霞んだ。
「辛い恋はしなくてもいい。俺が、兄さんの代わりになるからさ」
顔が徐々に近づいてくる。
足がすくんで、逃げ出すこともできない。
__バンッ。
「待てっ」
またしても、いきなり開いた襖の奥には智也さんが立っていた。