朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
伯爵はいつまでたっても返事をしてくれない。指が痛くなるほど強く鉄格子を握る私の肩を抱き、エドガーが囁く。
「行こう、ミリィ。ひとりにしてやろう」
伯爵には伯爵の考えがある。ひとりで考える時間も必要ってこと? ゆっくり鉄格子から手を離し、牢から離れる。背を向けて歩き出すけれど、なかなか足が進まない。後ろ髪を引かれるって、こういうことを言うのね。
重い扉が開かれる。これをくぐったら、アミルカのすべてとお別れだ。切ない思いで、最後に伯爵の方を振り返った。すると。
「王女様」
伯爵の小さな声がした。エドガーも私の横でゆっくりと振り返る。
「あなたもどうか、お元気で。国王陛下、ミリィ様を幸せにしてください。お願いします」
床を見たまま言った伯爵は、そのまま顔を膝に埋めてしまった。ぐっと涙がこみ上げる。
「ああ、任せておけ」
嗚咽で何も言えなくなった私の髪を撫でながら、エドガーが力強く頷いた。
伯爵はきっと、わかってくれた。私の気持ちをわかってくれたんだ。
伯爵が帰ってから王族のみんなを説得してくれるかはわからない。だけど、今はこれでじゅうぶんだと思える。
ゆっくりと、重い扉を閉める。さようなら、伯爵、さようなら、お母様。懐かしいアミルカ。そして、皆の思いを裏切ってごめんなさい……。
なかなか涙が止まらない私を、エドガーは何も言わずに抱きしめてくれていた。
彼の腕も胸も温かくて、安心できる。どんなに辛くても、この人となら生きていける。そう思った。