朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
「止めないで! 行かせて!」
「国王が無駄に歩き回るなと言っていたじゃないですかっ」
「あの人は『宮殿の中を』って言ったのよ。外に出ちゃダメとは言っていないわ」
「それは屁理屈って言うんですよ~」
頼りにならないおじいちゃんね! 私はドレスの裾をビッと強く引っ張った。光沢のある生地で手を滑らせた伯爵が、床に転ぶ。
「私は王妃になるのよ。王妃に命令できるのは王だけ。だけどその王がここにはいないわ」
「は、はあ……」
「どうしても王に会いたいと言えばいいのよ! さあ、行きましょう!」
絶対エドガーを捕まえて文句を言ってやるんだから。伯爵の制止を振り切り、近くにあった地味な色のショールを頭からかぶって部屋の外に出た。
こそこそと宮殿の中を太い柱に隠れながら進む。厩舎のだいたいの場所はわかる。ここに着いた日、エドガーが馬に乗ったまま去っていった方向に行けばいいのよ。
あれ……待ってよ。今、宮殿のどのへんだっけ。
たまに通りかかる人の目を逃れることに夢中で、自分のいる位置がわからない。
…………迷ったー!
「王女、こちらです」
涙目になってうずくまっていると、置いてきたはずのボートレイト伯爵がなぜか前方の柱からこっそり顔を出している。その頭には灰色のスカーフが巻かれていた。