朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
私、あの人を殺していいのかしら……? あの人を殺したら、この国の人たちがとっても困るんじゃないかしら。
いや、ダメよそんなこと考えたら。敵に情けは無用って言うじゃない。
迷いながらも体の向きを変え、宮殿の方へと歩き出そうとした。そのとき、向かいから来た人と肩がぶつかってしまった。向こうがすごい勢いで走ってきたからだ。避けられなかった。
「あっ」
相手の手に持っていた袋が、どさりとレンガでできた歩道に落ちる。がちゃりと、固い物が擦れ合うような音がした。
「あーあー、どうしてくれんだよ」
茶色い肩まである髪の若い男が袋を拾い上げる。細くて吊り上がった目に、不精髭。服も何日洗っていないのか汚らしく、嫌なにおいもする。
「この中身、全部宝石だぞ。傷がついちまったら売れねえじゃねえか。おい女、有り金全部出せ。そしたらなかったことにしてやるよ」
早口でまくしたてられる。そんなこと言われても、ぶつかってきたのそっちだし。お金、ないし。
「いやいや、傷がついているかどうか改めさせていただきたい。さあ、ここで全て並べてみせよ」
ボートレイト伯爵が近くの酒場の外に出ているテーブルを優しく叩く。傷以前に、袋の中身が宝石かどうかも怪しんでいるんだろう。
「なんだ? 爺は黙ってろよ。おい女、従者がいるってことは地位のある女なんだろ。さっさと金を出せよ!」