朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
ぐいと乱暴にマントを引っ張られる。咄嗟にそれをつかみ返すけど、強い力で引っ張られてそのまま体が傾いた。
無様に前のめりになって転ぶのと同時、マントを相手にはがれてしまった。
「ミリィ様!」
「おや……これはこれは。思っていた以上の女じゃないか」
不精髭の男が跪き、私のあごをとらえる。ぐいと引き上げられると、相手の口からお酒の嫌な匂いがした。
「金がないなら、他の方法で払ってもらおうじゃないか。さあ、一緒に来るん……」
男の口がピタリと止まった。いつの間にかその頬に、鋭い銀色の切っ先が突きつけられていた。
「……その手をはなせ」
ハッと上を見上げる。跪いた男の背後に、やたら背の高い影が。
背中にお日様を背負った彼は、まぎれもなく私の婚約者。エドガーだった。
エドガーは先ほどまでとは全く違う不機嫌そうな顔で私たちを見下ろしている。男の手が私のあごから離れると、エドガーは頬に突き付けていた剣を収めた。
「な、なんだよ……!」
立ち上がって振り返った男は、大口を開けたまま固まった。一国の王がそこにいたんだ。驚いて当たり前だろう。
「彼女がお前に何かしたか?」
剣を収めたまま、エドガーがきく。特別低くもないその声には不思議な重厚感があった。