朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
めんどくさそう……。そんな私の気持ちを見抜いたのか、ルーシアが言い聞かせるように私に言う。
「あなたは国王陛下の婚約者。皆さまに良い印象を植え付けなくてはなりません。にこやかに笑い、挨拶をするのです。それぞれの名前もすぐに覚えて……」
「えームリムリ、そういうのパス。私、今夜熱を出すわ。そういうことにしておいてちょうだい」
仮病使って休もうっと。そもそも、王妃になる気なんてないんだもの。暗殺計画を練っていた方が有意義だわ。
あのときどうして手が止まってしまったのか、未だにわからない。とにかくエドガーに惑わされている場合じゃない。
早くしないと、このまま本当に結婚させられて、純潔を奪われてしまう。うっかり想像しそうになって、慌てて首を横に振った。
「というわけで、さよならっ」
そそくさと部屋に帰ろうとした私の腕を、後ろからルーシアががしりとつかむ。うっ。意外に力強い……!
「逃げられると思っていたから、今まで言わなかったのですよ……」
髪をしまうキャップのフリルの下の目が、きらりと光る。
「さあ。参りましょう。今日の準備と、初夜のお勉強をするのです」
「ええー!」
「大丈夫です! 私も結婚はしておりませんが、何年もメイド頭として務めてきた身。知識は持っております」
なにそれ。それって頼りになるの?
結局私はルーシアにずるずると引きずられていくことに。図書室で分厚いお作法の本を広げながら、女二人で濃い時間を過ごしてしまったのであった。