綺麗な彼女はトゲを刺す


「なぁ。」


俺はそんな様子のティナがどうしても放っておけなくて、俯き小さくなるティナの前にしゃがみこみ、顔を見上げんだ。てっきり泣いているのかと思ったけど、違った。

眉間にシワが寄ってるわけでもなく、目を閉じているわけでもなかた。何も感じない…と言うより、何か別の事を考えているようなそんな表情だった。
予想外の事だったから、今でもよく記憶に残っている。


「今からみんなでかくれんぼするんだ。お前…ティナだっけ?ティナもやるだろ?」


問いかけるも、ティナは返事をしなかった。そんなティナの態度に痺れをきらした俺は、ティナの手を掴んで立ち上がったんだ。ティナは驚いたように顔をあげた。
初めて見せた表情が嬉しくて、俺は自然と笑顔を浮かべたんだ。


「いくぞ!」

掴んだ手を無理矢理引っ張ると、それに引かれてティナは立ち上がった。

「じゃーな、いんちょー!」

院長にそう告げて、俺はティナの手を掴んだまま走り出した。

「え……、ちょっ……」

後ろからそんなティナの声が聞こえてきたけど、気にせず走ったんだ。


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