エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》

　火菜は源に、

「これじゃあ監禁されてるのと同じだね。外に一歩も出れないなんて！勇がせっかく訪ねてきてくれたのに。あの時に話しを聞いてやれば良かった。」

と自分を責めながら言った。

「今となればだが、仕方ないさ。まあー俺が出ていけば済むんだろうだろうけどな。」

「ゴメン。なんかおっちゃんを責めてるわけじゃないんだけど、イライラしてるね私。」

「いや。でも、このままじゃダメだ。何か考えないとな。」

　火菜と源はまったく突破口のない高い壁に阻まれて意気消沈していた。

　このままではダメだ！なんとかしなければ…。

　すると火菜が、

「家政婦の里子さんとかを味方に出来ないかな？あの人ああ見えて結構優しかったりするんだけど…」

「うーん多分無理だ。黒沢がいたら彼女に接触するのさえ無理だろう。」

「そうだね。時間がなさ過ぎるよね。まさかボスがこんなに早く亡くなるなんてね！」

　源はハッと気付いて、

「それだ！あいつら何をびびっていやがるんだ。おかしいぞ。放っておいてもすぐに亡くなるハズの男にわざわざ止めをさしたのはなぜだ！？」