未知の世界5
私の表情から汲み取って、
「貧血か?」
私を座らせながら石川先生が聞く。
『そ、そんなことは』
「そんなことはある!薬飲んでなかったろ?」
厳しい口調の幸治さん。
石川先生と進藤先生の前で、こんな言い方しなくても…。
「今から薬飲んでも、大して変わらないから、今日は注射して様子見よう。」
『へっ!?』
突然の注射…、思ってもなかったので、変な声が出ていた。
健診の時の採血は覚悟を決めているので、何ら問題ないけど。
ま、まさか、今から注射って…。
『あ、あの…、いや…、注射じゃなくても…その…。』
「おまえ…、大人だろ。」
呆れた顔の石川先生。
と、幸治さん。
「かなちゃん、あまり言わないけど、注射がかなり嫌いな方だよね?」
進藤先生がこちらを見る。
『い、いや、苦手と言うほどでも…。』
なんとか誤魔化さなくては。
大人だろ?と言われて、はい、嫌いです。なんて言えない。
「好きな人はいないと思うけど、かなちゃんの注射の時を見てると、注射する時の顔の背け方が半端ないよっ。」
笑いながら言う進藤先生のおかけで、怒られていた部屋の空気が少し和む。
『ハハハ〜、バレてましたかぁ。』
と誤魔化してみるけど、呆れた顔の二人。
そのまま処置室に連行され、心の準備をする間もなく、プスっと刺された。
朝に出ていた咳は、空気の乾燥によるものなのかな…。
今のところ何もなくて良かった。