プラス1℃の恋人
 児嶋と一緒に、届いたばかりのダンボールを開ける。

 地域おこしの一環として、地ビールづくりはますます盛り上がりを見せている。

 話題性を狙ったネタっぽい商品もあるけれど、味もパッケージも一級品の、職人の魂を感じるようなものもあった。
 そんな商品に出会うと、どんなふうにプロデュースしていこうかと青羽はワクワクした。


「そういえば、53階のレストランでも、うちで扱うビールを置いてもらえるようになったらしいですね」

「高級レストランに置いても遜色のない商品もあるからね。オーナーも、じつは地ビールファンだって話だし」

「今度一緒に行きませんか?」

「どこへ?」

「53階のレストランです。夜景を見ながら、イベント成功の前祝いでもしましょうよ」

 またはじまった。
 ジロリと睨むと、児嶋は「下心はありません。ほかのみんなも誘いますから」と慌てて両手を振った。

「そうだねー」

 ダンボールのなかから、宮城の醸造所から届いたばかりのサンプル品を取り出す。
 去年行われた52階のパーティーでふるまわれたものだが、ラベルがより和テイストになっていた。

 外国人客が、お土産で持ち帰りたくなるものがいいのではないかと、青羽が提案したのだ。
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