強制両想い彼氏


「じゃあ、また昼休みな」

「うん」


あの日から、約1ヶ月が経った。


あの日はたしか、朝になって、2人で体育館のシャワー室でシャワーを浴びて、皐月くんがコンビニで買ってきてくれたサンドイッチとかを食べて、何事もなかったかのように2人でいつも通り登校した。

部室に一晩こもってたことも、先生にも親にも特にバレなかった。

あの日のことがあってから、皐月くんが大きく変わってしまったとか、特にそういうこともなく。
むしろ逆にあれは夢だったんじゃないかと思うくらい、皐月くんは今まで通り優しくて明るくて爽やかで、私の大好きな皐月くんのまま。
セックスもあの日以来してないし、最近はキスだってすごく優しくて、前にされた乱暴に奪われるキスは一度もされていない。

変わったことといえば……。

今までは一緒にしていたのは登校だけだった
けど、今は必ず下校も一緒にしなきゃいけない。そして昼休みも必ず一緒に過ごす。小さな休み時間も、余裕があればなるべく皐月くんと一緒にいるように言われたからそうしてる。

あと、一切皐月くん以外の男の子と喋らなくなった。

最初は突然男の子たちに素っ気なくなった私にみんな戸惑ってたけど、皐月くんが「俺が嫉妬しちゃうから、男子と喋らないでってお願いしてるんだよね」ってみんなの前で冗談めかして大々的に公言してからは、周りも理解したらしく、自然と私に話しかけてくる男の子はいなくなった。

女友達からは「あの皐月くんに嫉妬されるくらい愛されるなんて羨ましい」と毎日のように言われる。


「昼休みどこで食う?」

「あ、今日お弁当作ってきたの!皐月くん好きだって言ってたからロールキャベツ作ってきたよ!」

「え!?まじで!?」

「ただ朝家の前でころんじゃったから汁だらだらになってるかもしれない」

「汁だらだらにならないカチャンってなるタッパとかにつめてこいよ!!!ていうかころんだとか聞いてねえ!ケガは!?痛いとこは!?」

「私は受け身取ったから大丈夫なんだけど汁が……」

「お前が無事なら汁なんてどうでもいい」


朝の予鈴が鳴ると、皐月くんは私の額に軽くキスをして立ち上がった。


「じゃあ俺、自分のクラス戻るわ」


今までは登校したら下駄箱のところで別れてそれぞれのクラスに行っていたけど、あの日から皐月くんは私をクラスに送り届けて、朝のホームルームが始まるギリギリまで私と一緒にいる。


「昼休み、楽しみにしてるな」


教室を出て行く皐月くんの後ろ姿を見送ると、毎朝恒例、女友達による羨ましい攻撃が始まった。




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