強制両想い彼氏

「はい、あーんして」


ケーキが刺さったフォークを私に向ける皐月くん。


「え、やだ、恥ずかしい!」

「大丈夫だって誰も見てねーよ。ほら」

「う……」

「ほーら早く」


おずおずと口を開くと、皐月くんが優しくケーキを口に運んでくれた。
恥ずかしくて俯いていたら、そんな私をからかうように皐月くんは悪戯っぽく笑って口を開く。


「どう?おいし?」

「うん……おいしい……です、とても」

「間接キス」

「わざわざ言わなくていい!」


照れまくる私を更にからかうように、皐月くんは私の顔を覗き込みながら少し意地悪な笑みを浮かべる。


「俺、“間接”じゃない方もしたいんだけど」

「!」


硬直した私を面白そうに眺めると、「だめ?」と、皐月くんはわざとらしく寂しそうな表情で小さく首を傾げる。
あざとすぎるその攻撃に、ますます硬直してしまう。


「だ、め」

「……」

「ここでは、だめ……っ」


顔が熱い。
真っ赤に赤面してるのが自分でもよく分かるくらい顔が熱い。


「……可愛い」


そんな真っ赤な私を見て、皐月くんはクスッと小さく笑う。


「ならここじゃない場所で、いっぱいする」


そのとんでもない一言に心臓が飛び跳ねて、思わず倒れそうになったけど、それを誤魔化すために急いで目一杯ケーキを頬張った。



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