偽りの先生、幾千の涙
「だから、嫌じゃなかったら、行こう?」
嫌って言えなさそうなのは見ていたら分かる。
多分、今日はバレないし大丈夫。
「えっと…あたしで良ければ。」
すぐに折れた国木田花音ちゃんは、未だに戸惑っているものの受け入れてくれた。
「勿論、勿論!
そうだ君、名前は?」
このままだと、いつ本名で読んでしまうか分からないから先に聞いておく。
「…国木田です。」
「国木田さん?
国木田何ちゃん?」
「花音です。」
「花音ちゃん?
名前も可愛いんだね。
花音ちゃん、名前と雰囲気が合ってる。」
お世辞っぽいけど、半分は本当の事を言う。
花音ちゃんは褒めると更に戸惑ってしまったようで、反応に困っているのが目に見える。
可愛いのに、言われていないのかな?
女子校ではウケが良くないタイプなのかもしれないが、勿体ない。
「あの…ありがとうございます。」
「敬語とかいらないって。
俺も似たような年だし、花音ちゃん、高3?」