そばにいて
「え、なに?ついに料理男子に目覚めたの?」
翌日の昼休み。
社員食堂に向かう途中、手にしている弁当袋に気づいてからかうように中岡から言われた。
「いや、これはその、」
「え?もしかして彼女出来たの?」
「いや、違うんだ。……町田さんが作ってくれて」
「え、町田さん?」
中岡はからかうというよりも嬉しそうに笑う。
それを見て、俺自身も照れくさいような嬉しいような気持ちになるけれど、もう一人の自分が”馬鹿じゃねぇの”と冷ややかに言う。
「いや、彼女とはそういうんじゃないんだ」
そして、俺は昨日から今朝までの経緯を中岡に打ち明ける。
「町田さん、甲田のこと入社した時からずっと想ってるもんな」
「……」
それはなんとなくわかっていた。
だからこそ彼女とは関わらないように極力距離を置いてきたつもりだった。
「ミキちゃんだって、甲田が幸せになってくれること望んでると思うけどなー」
「まぁいつかはな。でもまだ七年だよ。俺には」
「……そっか」