そばにいて


「おかえりなさい!」

昨日と同じように彼女が出迎えてくれた。

「……ただいま」

会社にいる途中、何度かミキの様子をメールしてくれていた。

彼女からのメールに気づくたび、俺は浮き足立ってる自分に”まだ七年だろ”と強く言い聞かせた。

ミキも随分元気になっていて、リビングに行くとゆっくりと歩み寄ってくれた。

うん、まだ七年なんだ。


「食べましょう」

テーブルには俺の好物ばかりが並べられていた。
そういえば弁当もすごく俺好みの味だった。

「すごいや、俺の大好物ばっかり」

町田さんはフフフと嬉しそうに笑って、
「子供みたいな食べ物が好きって中岡さんにいつだったかからかわれてたから」
って教えてくれたけれど。

そんなことあったっけ?
からかわれてた俺のほうがそんなこと忘れていた。

そんな些細なことですら覚えていてくれた。
そんな事実に俺は”もう七年だよな”って思ってる自分がいる。


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