強引年下ピアニストと恋するカクテル。
慌てて駅前でラッピングしてきた小さな花束を渡すと颯太くんは笑ってくれた。
「ごめん。貧相なんだけど」
「いいよいいよ。それよりもその花束、怜也にあげてくれる? あいつ君に会いたかったみたいで」
「……私?」
一瞬信じられない言葉が出たせいで思考が止まった。
なんで私?
ポカンとしていたけれど、それと同時に小さく舌打ちが聞こえてきて振り返る。
すると、さきほどのピアニストがあの綺麗な瞳で私を睨みつけていた。
(に、睨まれてる……?)
遅れて来た身でちょっと目立ってしまったかもしれない。
慌てて私は席に着くと、彼は機嫌の悪さを隠さないまま演奏を始めた。
(……綺麗な音色)
指先の小さな余韻が甘く音色をぼかし、音にメリハリをつけている。
しっとりしたバラードが、ため息が出るほど綺麗。
さっきまで騒然としていたBARは、急に静かになった。
(こんな有名なピアニストを呼べちゃうなんて、颯太くん、本当に凄い人なんだよねえ)